昔の作品にタイムスリップ(その2:沢スギ自然館/富山県入善町)
ねいの里に続いて、2日目は、これも30年ぶりになる入善町の「沢スギ自然館」、
富山市から北東に約40キロメートルの黒部川扇状地の入善町を訪れました。
杉沢の沢スギは、スギの天然林で国指定天然記念物です。
黒部川扇状地から富山湾にそそぐ伏流水が、海岸沿いで湧水として湧き出しスギの林を育みました。
30年前この天然林の一角にガイダンス施設並びに林内をめぐる観察木道を設計しました。
観察木道は腐食に強い南洋材を使いましたが、林内の湿度も影響してか部分的劣化が目立ちます。
ガイダンス施設の外壁の木材は、ほとんど劣化していません。
屋根はねいの里とは異なり、金属板で覆っていたためほぼ当時のままでした。
内部は展望塔吹き抜け部のスギのジオラマが色あせたくらいです。
展望室からの眺めは、相変わらず素晴らしく黒部立山の山々、黒部川の扇状地、富山湾と360度のパノラマで、
水の循環としての沢スギの地形的な成立由来をビジュアルに把握できます。
事務所では近所に住むという年配の女性が管理業務に携わっておられました。
大面積の芝生もきれいに刈られており、良好な維持管理に感謝です。
30年の時の流れを感じたのは、広場に植えた杉の苗木がすっかり成木に育っていたことです。
(安河内泰男)