経済分析入門
産業連関分析と観光産業
経済においては様々な産業が様々な財・サービスを生産し,それらの財・サービスの取引を行なっています.この財・サービスの生産過程において,ある財を生産するために別の財を投入するなど,原材料の取引を通じて多くの産業が相互に密接に関わっています.したがって,ある産業に需要が生じると,その需要を満たすためにいろいろな産業に生産が波及していきますが,そのような経済波及効果を産業連関表によって分析するのが,産業連関分析です.産業連関分析を用いて経済波及効果を計測することができます.産業連関表を用いた分析事例として,たとえば,以下のようなものがあります.
- 公共事業の経済効果の測定(公共事業(ダム建設,道路建設等)を行なうことによって,どれだけの経済効果があるのか測定できます.)
- 観光消費の経済効果の測定(観光客の増加に伴って,どれだけの経済効果があるのか測定できます.たとえば世界遺産の登録による観光客増加の経済効果を測定できます.)
- 地域イベント開催による経済効果の測定(地域イベント(お祭り,カーニバル,コンテスト,コンサート等)を開催することによって,どれだけの経済効果があるのか測定できます.)
- リゾート施設開発(ゴルフ場,ホテル建設等)の経済効果の測定(リゾート施設開発(ゴルフ場,ホテル建設等)を開発することによって,どれだけの経済効果があるのか測定できます.)
- 公共施設建設の経済効果の測定(公共施設(イベントホール,動物園,植物園等)を建設することによって,どれだけの経済効果があるのか測定できます.)
地域の産業連関分析を行なったときには,これらの事業を行なったときにその地域にどれだけの最終需要が生じるか(どれだけのお金が落ちるか)を測定することができます.(たとえばある地域が世界遺産に登録されたときには,観光客の増加が見込まれ,その観光客の増加がどれだけの経済効果をもたらすかを測定することができます.)
以下では,産業連関分析の基本的な枠組みについて,特に観光産業の経済波及効果に焦点を当て,5回に分けて解説していきます.